「私のアプローチはこれまでも常に、混沌の中に秩序をもたらすことでした」
私が見る世界を表現する、ストリートフォトグラフィー
ストリートフォトグラファーのエオロ・ペルフィド。東京は自身が世界に向ける眼差しにぴったりの舞台であると感じています。街は常に動き続け、限りなく多様な表情を持っています。エオロにとって、東京のストリートは混沌の中から明快な構図を見出すことのできる場所。たったひとり、その場に人物を配置するだけで、多くの場合、均衡のとれた構図が完成します。
彼にとって写真とは、人間をもっとよく理解するための手段。仕草、光、そして感情に注目し、それらをじっと観察します。その人の在り様の、何か深い部分が垣間見える一瞬を求め、目を凝らします。
このストーリーは、”Tokyo Street”シリーズの一部です。ニュースレターに登録して、さらに他の写真家たちのストーリーをお楽しみください。
写真家自身を映し出すストリートフォトグラフィー
エオロはよく、ストリートフォトグラフィーとは写真家の指紋のようなものだと言います。誰かにカメラを渡してストリートの写真を撮って来てもらうと、そこには撮った人のセンスが反映されています。自分の思い通りに制御することが不可能な場でこそ、はっきりと表れます。
ストリートという場所は、隠す余地を一切与えてくれません。スタイル、タイミング、目配り、そして失敗も、すべてが一目瞭然。だからこそ、ストリートフォトグラフィーは、偽りなく正直な媒体となるのです。優れたストリートフォトグラファーとは、全く失敗をしないというのではなく、他の人よりも少しだけ失敗することが少ない人。そしてストリートのテンポに合わせることのできる人です。
大切なのはシーンをコントロールすることではなく、その流れの一部となり、すべてが一瞬だけ噛み合う瞬間を見逃さないことです。
ストリートフォトグラフィーは、周囲の環境はコントロールできないものだということを教えてくれました。その場のリズムに一体化する必要があるのです。
エオロ・ペルフィド
ひとつの街、無数の世界
東京という街には、様々に異なる世界が当たり前のように隣り合って存在しています。現代建築と歴史ある街並みが交差し、躍動感あふれるダイナミズムと、ふと訪れる静寂のひとときが共存する。
エオロが特に魅力を感じるのが、集団的なリズムと個の孤立が持つ対照性です。数多の人々が同じリズムで動いているにもかかわらず、ひとりひとりは自分自身の世界に閉じこもっているように見えます。身体的に隣り合いながら、心は互いに遠く離れている-物理的な密集のなかで保たれるこの心理的な距離が、東京だけが持つ独特のエネルギーとなっています。
東京は、街に流れるリズムだけで定義されるものではありません。この街の個性を形づくっているのは、そこに息づく人々の繊細な存在なのです。
「私のアプローチはこれまでも常に、混沌の中に秩序をもたらすことでした」
エオロ・ペルフィド
エオロ・ペルフィド
ローマを拠点とするイタリア人写真家でありクリエイティブディレクター。ポートレートや広告写真、ストリートフォトグラフィーから後進の育成、そして自主制作によるアートプロジェクトまで多岐にわたる領域で活躍する。ライカとのつながりも深く、ライカフォトグラファーとしてライカアカデミー講師を務める。
商業写真からスタートし、キャリアを重ねるなかで、ストリートフォトグラフィーが自身の世界観を伝える写真表現となる。以来、ストリートでの経験はあらゆる仕事の軸となり、屋外・屋内を問わず、すべてのポートレート撮影でのアプローチにも影響を与えている。
写真の中心に据えるのは人であり、最も意義深い瞬間は被写体と交わす一瞬の視線、信頼と許容を映し出す一瞥から始まることが多い。
エオロの使用機材
シーンで使い分けるツール
エオロが手掛けるプロフェッショナルな仕事にライカは欠かせない存在ですが、エオロはひとつの撮影スタイルに固執していません。スタジオ撮影から現場での撮影まで、精度と柔軟性の両方が求められる高度なクライアントワークでは、「ライカSL3」と「ライカSL3-P」を使います。
ストリートでは、自身の感覚に身を任せます。「ライカQ3」は、目の前に突然現れ、あっという間に過ぎ去る一瞬を捉えることを可能にし、「ライカM EV1」は意識した構図づくりを促します。ライカMシステムの広角レンズは、出来事のすぐそばで、明快で秩序ある画作りを可能にしてくれます。
それぞれのカメラが、それぞれの役割を持っています。ライカSLシステムはポートレート撮影とクライアントワークを支え、「ライカQ3」はストリートの瞬間を捉えるために活躍し、そしてMシステムはより意識的な構図づくりを促します。
「ライカM EV1」が広げるMシステムの可能性
エオロ・ペルフィドは長きにわたってM型ライカをプライベートな撮影に使ってきました。そのMシステムをプロフェッショナルな撮影現場でどこまで使えるのか。「ライカM EV1」の登場はMシステムの可動域に変化をもたらします。これまで自主制作プロジェクトに適していると思ってきたものが、ポートレート、エディトリアル、広告写真といった高度で複雑なクライアントワークにも確信を持って使えるようになったのです。
「ライカM EV1」では、シャッターを切る前に、エオロはその完成イメージを確認できます。露出、被写界深度、光、描写を、内蔵の電子ビューファインダーを通してリアルタイムで確認できるのです。時間の制約を受けながら撮影する側にとって、こうしたフィードバックは撮影時の確信につながると同時に、Mシステムならではの撮影する喜びもそのまま味わえます。
また、フォーカスピーキングと拡大表示によって、開放絞りや焦点距離の長いレンズでも正確なピント合わせが可能になるので、単に顔にピントを合わせるのではなく、例えば目、そしてキャッチライトまでも含む、最も効果的な部分に正確にフォーカスすることができます。
常に画角と描写を正確に見ることができます。
エオロ・ペルフィド
M型ライカ:ストリートフォトグラフィーの代名詞
M型ライカは、長年にわたりストリートフォトグラフィーを象徴する存在であり続けてきました。単に写真を撮るための道具ではなく、「見る力」を研ぎ澄ますために生まれたカメラです。マニュアル操作、無駄を削ぎ落としたデザイン、そして手に馴染むサイズ感が、直感的な撮影を可能にします。これにより、写真家は周囲の世界に意識を向け、街の中を自然に動きながら撮影に集中できるのです。
数十年にわたり、M型ライカはストリートフォトグラフィーそのものを体現してきました。他のどのカメラにもないリアリズムで、かけがえのない瞬間を鮮明に写し撮ります。