© Mitsuru Wakabayashi
ライカカメラジャパンはこのたび、写真家・若林 満による写真展「Dérive(漂流)」をライカギャラリー京都にて開催いたします。
街を歩くなかで、ふと目に留まる風景がある。若林満は、そうした一瞬を写真に残してきました。
そこにあるのは、特別な場所や劇的な瞬間を探し求めることではありません。何気なく過ぎていく日常のなかで、ある風景に目が留まり、シャッターを切る。その小さな偶然の積み重ねが、若林の写真を形づくっています。
本展のタイトル「Dérive(デリヴ)」は、フランス語で「漂流」を意味します。1950年代、シチュアシオニスト・インターナショナルの活動のなかで展開されたこの概念は、都市を目的地へ向かうだけの場所ではなく、歩くことを通してその環境や感覚を体験する実践として考えられました。
若林が「Dérive」という言葉に出会ったのは、自身がすでに長く続けてきた撮影のあり方を振り返るなかでのことでした。なぜその場所で足を止めたのか、そのときには自分でもわからない。けれども行く先を定めずに街を歩き、目の前に現れるものを受け入れていく感覚は、まさに「Dérive」という言葉によって捉え直すことができるものでした。
それは、新しい考え方を身につけたというよりも、これまで自分のなかにあった感覚にひとつの名前が与えられたということなのかもしれません。
若林の写真に写るのは、誰かによって特別な意味を与えられた風景ではありません。光や空気、人の気配、その土地に漂う時間。歩くことで偶然出会ったものに目を向け、そのまま受け止めることで、見慣れた世界のなかにある別の表情が浮かび上がります。
本展では、日々の歩みのなかで出会い、撮り続けてきた風景を通して、ひとりの写真家が「見る」という行為とどのように向き合ってきたのかをご紹介します。
"世界は、いつも私たちに開かれている"
若林の写真を通して、いつもの風景にもう一度目を向けていただければと思います。
私はいつも、目的地を決めずに街を歩く。
光の向きや人の気配に導かれるように足を進め、
その途中で出会った風景を写真に残してきた。
なぜその場所で足を止めたのか、そのときは自分でもわからない。
後になって、フランスの思想家ギー・ドゥボールが提唱した
「Dérive(漂流)」という概念を知った。
行く先を定めず、身を委ねて街を歩くと、見過ごしていた風景の意味が
立ち上がってくる。
すべての風景が等価になり、世界がそのまま開かれるというもの。
それは私に新しい考え方を与えたのではなく、
ずっと続けてきた感覚に名前を与えてくれた。
世界は、いつも私たちに開かれている。
その風景は、誰かに価値を与えられることで存在しているのではない。
そこに、静かに身を委ねられる自分でありたい。
若林 満
写真展概要
| Title | 若林満 写真展 「Dérive(漂流)」 |
| Date & Venue |
2026年10月3日(土)~ 2026年12月3日(木) ライカギャラリー京都 (ライカ京都店2F) |
若林 満/Mitsuru Wakabayashi
京都府生まれ。2016年にアパレルの世界からフォトグラファーへ転身。Instagramを中心に作品を発表しながら活動を広げ、現在は京都と東京を拠点に、広告、雑誌、SNSメディアなど国内外にクライアントを持つ。
ライフワークはカメラを携えて街や旅先を歩き、日常の中にある何気ない瞬間を切り撮ること。人物が映り込むシーンでありながら、人そのものではなく景観や空気感を主役として描き出し、見る人それぞれの想像力をかき立てるストーリー性のある作品で評価を得ている。貴船神社をはじめとする文化施設や企業の撮影、写真展での作品発表など、幅広く活動する。
また、京都の街並みや旅、カメラの楽しさを発信するYouTubeチャンネル「キョウトボーイズ」のメンバーとしても活動。本展と同名の写真集『Dérive』を2026年秋に刊行予定。
Leica Gallery Kyoto
570-120 Gionmachi minamigawa Higashiyama-ku, Kyoto City
Kyoto
Japan