Jason Roman with the leica M EV1

「写真撮影は、この世で一番素晴らしい趣味です」

ジェイソン・ローマン

2026/03/12

ローマンにとってのストリートポートレート

ニューヨーク出身のジェイソン・ローマンにとって、東京は視点に変化をもたらす街です。慣れ親しんだ環境から遠く離れた空間で、感覚はより研ぎ澄まされ、それぞれの通り、ひとりひとりの表情、そして一瞬一瞬に発見があります。大胆で表現力にあふれた東京は、独自の存在感を放つ人々へと彼を引き寄せます。ローマンにとって写真の決め手となるのは「人」であり、他のすべては後からついてくるのです。

ニュースレターに登録して、さらに他のストーリーをお楽しみください。

 

多様なスタイル

ローマンは、周囲を注意深く観察しつつ、頭の中でストーリーを組み立て、自分の描くストーリーにぴったりの人物との出会いを待ちながら、ゆっくりと世界を見て回ります。思いはただひとつ──すべてをカメラに収めること。ローマンは、写真撮影を「この世で一番素晴らしい趣味」と語り、できるかぎりずっと写真を撮り続けていたいと思っています。

彼にとってストリートフォトグラフィーの醍醐味は、撮影をきっかけに生まれる被写体との交流が、その写真に深い意味を与えていく過程です。被写体とのひとつひとつの出会いは、演出のない本物の感情を探す、ある種の「キャスティング作業」です。捉えたいのは、その人物の中にすでに存在する「何か」。彼が惹かれる人々の中にある、どこか見覚えのあるものへの静かな気づきによって、ローマンの撮る写真はセルフポートレートのようになっていきます。

彼の撮影スタイルが被写体との出会いをいきいきとしたものに変えていく様子を動画でご覧ください。

自分のスタイルをひと言で表すとしたら、「さまざまなスタイルを取り込むスタイル」と言えます。写真を撮るときは、カメレオンのように状況に合わせて雰囲気を変えるのが好きです。

ジェイソン・ローマン

異なる街、異なる視点

ニューヨークでは、ローマンは日常的に24mmレンズを使用しています。目隠ししても進めるくらいに知り尽くした通りを歩き、離れた場所からじっと観察するのではなく、その場に完全に入り込んで撮影します。

しかし、東京ではこの撮影スタイルを意識的に変えなければなりません。50mmレンズに交換しての撮影は、写真だけでなく、彼自身の撮影に対する姿勢にも変化をもたらします。被写体との間に生まれる距離が、対象に対する意識を高め、じっくりと向き合うよう促します。東京という空間に訪問者として身を置くローマンは、自らの立ち位置、そして、その場に立ち会うことと観察者として距離を保つこととの境界線を、より強く意識するようになりました。

街にあふれる大胆な独自性と静かな自信に視線を向けながら、彼が「メインキャラクターエネルギー」と呼ぶもの、すなわち自らの存在感をためらいなくまとっている人々との出会いを求めて、彼は街を歩きます。

ニューヨークでは、そのオーラを「メインキャラクターエネルギー」と呼びます。

ジェイソン・ローマン

Jason Roman with the Leica M EV1 in Tokyo

ジェイソン・ローマン

ニューヨークに生まれ育ったジェイソン・ローマンは、初めからクリエイティブな道を目指していたわけではなく、まずは日々の糧を得るための生活を送っていた。Bowery Hotelでのある仕事をきっかけにアートと出会い、演劇の道へと進むようになる。時が経つにつれ、自身にとって写真が「私的かつ長期にわたる表現を可能にするフォーマット」であることに気づき、写真に全力を注ぐため、演劇の世界を後にする。

すべてを独学で習得したローマンの写真の特徴は、観察、光、人々のさりげない仕草が織りなすビジュアルスタイルにあり、普段人々の目に留まらないものに宿る美しさや、ありふれた日々の意味に光を当てている。

彼のクライアントには、New Yorker、Google、HBO Max、AmazonやWarner Brothersなど、著名な企業が名を連ねる。典型的なニューヨーカーであるローマンは、車を運転する代わりに、カメラを手に、仕事場であり、自身の作品世界と深く結びつくニューヨークの街を歩き続けている。

Instagram

ローマンの使用機材

瞬間を描く絵筆のように

Jason Roman photographs pedestrians in Tokyo

ローマンは、絵筆を選ぶように、カメラを目的に応じて使い分けています。「ライカSL3」からM型ライカ、そしてQシリーズと、さまざまなシステムをシームレスに切り替えて撮影を進めます。それぞれのツールに独自の役割があり、それらが一体となって、ローマンの写真表現をかたちづくります。

長年にわたりM型ライカを使用するローマンにとって、ライカMシステムは自身の撮影スタイルに常に新たな挑戦をもたらす存在。向き合うなかで、ライカMシステムが自らの作品のDNAに刻みこまれていくと感じています。M型ライカでの撮影においては、取る側に明確な意図が求められます。それこそが、M型ライカの魅力なのです。コンパクトなフォルムは機動性に優れ、どんなシーンでも撮影を妨げません。同時に、本当に必要なものだけに絞り込んだシンプルな操作性により、本質にじっくりと向き合い、焦点を当てることができます。「ひとつひとつの写真に、撮られる価値がある」という信念のもと、ローマンは今日もカメラを構えます。

ライカMシステム

撮影に使うツールは、創作に干渉しないことが重要です。また、同時にひらめきを与えてくれるものでなければなりません。

ジェイソン・ローマン

Mの世界:レンジファインダーからEV1へ

「ライカM EV1」は、写真の可能性を広げ、ローマンにこれまで味わったことのない撮影体験をもたらしました。従来型のレンジファインダーは習熟に時間がかかりますが、「ライカM EV1」は、見たままの像を表示するため安心して使うことができます。その結果、これまで使い慣れたレンズに加え、新たなレンズにも積極的に挑戦できるようになりました。視力の変化もあり、電子ビューファインダーのクリアな視認性は彼にとって決定的な要素となっています。常に的確なフォーカスを得られるという確信が、撮影への自信につながっています。

一方で、M型ライカの本質は変わりません。コンパクトなフォルムと直感的な操作性は、今もなおその象徴です。ローマンにとって「ライカM EV1」は、レンジファインダー体験を置き換えるものではありません。むしろ、それを拡張する存在です。M型ライカの哲学に忠実でありながら、創造の自由をさらに押し広げ、ヴィンテージレンズに新たな命を吹き込んでくれます。

私たちが本当に求めているのは、レンジファインダーの体験ではなく、“Mならではの体験” なのです。

ジェイソン・ローマン

M型ライカ:ストリートフォトグラフィーの代名詞

M型ライカは、長年にわたりストリートフォトグラフィーを象徴する存在であり続けてきました。単に写真を撮るための道具ではなく、「見る力」を研ぎ澄ますために生まれたカメラです。マニュアル操作、無駄を削ぎ落としたデザイン、そして手に馴染むサイズ感が、直感的な撮影を可能にします。これにより、写真家は周囲の世界に意識を向け、街の中を自然に動きながら撮影に集中できるのです。

数十年にわたり、M型ライカはストリートフォトグラフィーそのものを体現してきました。他のどのカメラにもないリアリズムで、かけがえのない瞬間を鮮明に写し撮ります。

互いに刺激し合って、より良くなっていく。コミュニティとはそういうものです。

ジェイソン・ローマン

Our Leica Community