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ライカ ポルトガル工場の50年 | 1973–2023

ドイツと変わらぬ製品づくりとクラフツマンシップへのこだわり

プロローグ

ポルトガルの第二の都市ポルトから北東へ40kmほどの場所にある町、ヴィラ・ノヴァ・デ・ファマリカン。創業家ライツファミリーは1973年、製品の生産力を強化する目的で、この町に新たな工場を建設しました。そこは新工場の建設地には理想的な場所でした。なぜなら、地元の労働者たちはそれ以前から高精度なメカ機構の製造の経験を豊富に有していたのです。その後、このポルトガル工場は製品の製造に欠かせない存在としてライカに多大な貢献をしてきました。そして今年、ウェッツラーとヴィラ・ノヴァ・デ・ファマリカンを結んできた多様性とコミュニティの成功に満ちた歴史が、50年という記念すべき節目の年を迎えました。

ポルトガルとドイツを結んできた50年の歴史を振り返る節目ではありますが、同時に私たちはこの先の未来も見据えています。ヴィラ・ノヴァ・デ・ファマリカンでも、ウェッツラーと同じように常に革新性を追求し続けているのです
ペドロ・オリヴェイラ、ヴィトール・フレイタス
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Behind the Scenes

ポルトガルの写真家ゴンサロ・フォンセカ氏は、ヴィラ・ノヴァ・デ・ファマリカンの工場で一日を過ごし、ライカの製品生産に関わる従業員の働きを仔細に見つめ、その本質を赤裸々に切り撮ります。
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ライカ ポルトガル工場の50年

ドイツのウェッツラーからポルトガル北部のヴィラ・ノヴァ・デ・ファマリカンでの工場建設までの道のりは、1960年代後半に始まりました。その当時、ドイツ国内では製造コストが上昇していました。そこでエルンスト・ライツ社(Optische Werke Ernst Leitz)は、国外に工場を増設する計画を打ち出したのです。建設地としてさまざまな候補地を検討しましたが、最終的に白羽の矢が立ったのが、ポルトガルのヴィラ・ノヴァ・デ・ファマリカン。高精度なメカ機構の製造地としての歴史がすでに根付いていたことが決め手となりました。こうして、今から50年前の1973年にポルトガル工場は産声を上げ、現在に至るまでライカの歴史の一端を担ってきています。

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1973–1983: 工場の黎明期

ライカ ポルトガル(Leica Aparelhos Ópticos de Precisão)は1973年に誕生しました。稼働当初に熟練の労働者の手によって行われていたのは、ライカのカメラとレンズのパーツの組み立て、そして顕微鏡のパーツの製造でした。やがて、コンパクト双眼鏡「トリノビット」シリーズが製造されるようになり、1976年には「ライカR3」の組み立ても行われるようになりました。また、1978年7月27日にスポーツやイベントなどの従業員の活動をサポートする「グルーポ・デシュポルティーヴォ・イ・レクリアティーヴォ・ライカ(G.D.R.L.)」を設立。ポルトガル工場で働く従業員の中にライカに対する帰属意識がさらに高まることになりました。

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1984–1999: 重要なマイルストーン

1984年に名機として名高い「ライカM6」の仮組み立てが行われるようになったことは、ポルトガル工場にとって重要なマイルストーンとなりました。1996年には、ライカのデジタル一眼レフカメラへの移行を象徴するデジタルバックシステムDMR(Digital Module R)を搭載できる「ライカR8」の生産を開始しました。1997年には、ISO9001認証を取得し、ロジスティックス部門と生産技術部門を新設しました。そして、同年11月にSAPプロジェクトを立ち上げ、その12か月後には運用が開始しました。この年の売上高は2500万ユーロでした。

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2000–2015: 難局を克服しさらなる発展へ

2009年、ライカ ポルトガルは生産上の課題に直面します。しかし、同年9月に「ライカM9」と「ライカS2」が発売されると、生産力が大幅に回復。新たに150人の従業員を採用することになりました。2013年にはライカ ポルトガルは52,400m²の敷地面積を有する施設に移転しました。この施設では、製造、組み立て、光学系、メカ機構にそれぞれ専用エリアが割り当てられました。その2年後にはエンジニアリング部門を新設。ポルトガルのライカはさらなる発展を遂げました。

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2016–2022: 写真文化への眼差し

2016年12月にはライカストア ポルトがオープン。同じ建物内にはライカギャラリーも併設され、ライカアカデミーも開催されています。2017年にはポルトガル工場内でスポーツオプティクス製品部門のカスタマーケアとホールセール部門を担うことになり、2018年にはライカカメラ社に完全統合されました。ライカ ポルトガルは現在、814人の従業員を抱えるまでに成長しています。ライカの価値を積極的に世に広めてきたポルトガル工場こそが、ウェッツラーに根差した伝統ある小さな企業であった「ライカ」をヨーロッパの代表的企業にまで発展させた立役者なのです。

2023: ライカ ポルトガル 設立50周年

そして今年、ウェッツラーとヴィラ・ノヴァ・デ・ファマリカンの工場が築いてきた実績と多様性、そしてふたつの工場を強固に結び付けてきたコミュニティが50周年を迎えました。記念すべきこの節目を祝して、両工場が共にライカの成長に貢献してきた素晴らしい軌跡をさまざまな角度から克明に記録した作品を展示する写真展「From Famalicão to the World: 50 Years of Leica in Portugal」が、ヴィラ・ノヴァ・デ・ファマリカンの文化施設カーザ・ダス・アルテスにて開催中です。この写真展はドイツとポルトガルにおけるライカの協働の歴史を振り返るものですが、ライカが常に見据えているのは未来です。ウェッツラーでもヴィラ・ノヴァ・デ・ファマリカンでも、目指すべき重要なゴールは新たな革新性であることに変わりはありません。
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アンドレアス・カウフマン博士

「ライカの従業員の皆さんは非常に献身的に業務に取り組んでいます。そしてこれは公然の秘密ですが、ライカの成功の秘訣の一端はヴィラ・ノヴァ・デ・ファマリカンの工場にもあります」

ライカカメラ社社主、監査役会議長

 

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ペドロ・オリヴェイラ

「ヴィラ・ノヴァ・デ・ファマリカンの工場が誇る技術は現在、光学機器の業界のスタンダードとなっています」

ライカ ポルトガル 常務取締役

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ヴィトール・フレイタス

「ヴィラ・ノヴァ・デ・ファマリカンの工場にあるのは、人々の情熱と完璧な製品づくりです。従業員はみな非常に勤勉であり、その姿勢こそがこの工場に成功をもたらしているのは間違いありません。この工場での私たちの仕事ぶりが、世界でのライカブランドのイメージに直結している。それは紛れもない事実です」

ライカ ポルトガル 常務取締役

アルフレード・クーニャ

50年にわたる情熱

これまで50年にわたって数々の印象的な作品を世に送り出してきた写真家アルフレード・クーニャ氏。ライカギャラリー ポルトでは、ライカのポルトガル工場50周年を記念して、母国ポルトガルへのオマージュとなるアルフレード・クーニャ写真展「Portugal from 1973 to 2023: A Work in Progress」を開催しています。ライカ製品をこよなく愛するクーニャ氏は、まさにライカのポルトガル工場50周年の記念イベントにふさわしい写真家です。「ライカのカメラは光学性能が素晴らしく、ボディがタフなのが特長です。写真撮影のための道具であると同時に、まるで物事を見る自分の目の延長線上にあるように感じます」とクーニャ氏は語っています。クーニャ氏の写真とライカブランドへの情熱に溢れる写真展は、2024年1月中旬まで開催されます。
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1 © Alfredo Cunha Lisboa 1974
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2 © Alfredo Cunha Vila Verde 1999
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3 © Alfredo Cunha Vila Verde 2017 - cópia

PORTUGAL 1973 – 2023: A WORK IN PROGRESS

ポルトガルの写真家アルフレード・クーニャ氏がこれまでの50年に手がけた作品を展示する写真展。ポルトのライカギャラリーで開催中です。