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ポルトガルから世界へ ── ライカのポルトガル工場50周年を迎えて

ライカのカメラとレンズは、ドイツならではの卓越したものづくりの伝統とクラフツマンシップが宿る“Made in Germany”の代表的な存在です。ドイツ製として知られるライカ製品ですが、実は50年前からポルトガルにも製造拠点を有しています。それが、ヴィラ・ノヴァ・デ・ファマリカンという町の工場です。ライカの拠点であるウェッツラーとヴィラ・ノヴァ・デ・ファマリカンの工場がこれまでの半世紀で築いてきた実績と多様性、そしてふたつの工場を結び付けてきたコミュニティがそこにはあります。 

ポルトガル北部に位置するヴィラ・ノヴァ・デ・ファマリカンの工場は、第2工場として長年にわたりライカの歴史の一端を担っています。工場には現在800名以上の従業員がおり、ライカ製品を構成する重要なパーツを製造しています。現在の工場が稼働を開始したのは2013年で、敷地面積は52,400m²、製造エリアの面積は12,677m²、組み立てエリアの面積は3,047m²、光学系のエリアは3,244m²、メカ機構のエリアは4,827m² を誇ります。昨年度の売上高は8,200万ユーロでした。数字においても良好なデータが並びつつ、それ以上に特筆すべきは現場で業務に携わってきた人々です。これまで数十年にわたりライカ製品の製造工程に堅実に取り組み、ドイツ・ウェッツラーの一企業だったライカをヨーロッパの代表的企業にまで成長させ、さらには高精度なカメラ製品と唯一無二のブランドとしての存在を広く世界に広めることへ貢献してきた従業員こそがライカにとってはかけがえのない存在です。もちろん、工場で実際に製造に携わってきた従業員のみならず、ライカのカメラで世界の貴重な瞬間を切り撮ってきた写真家たちもライカの成長に大きく寄与してきました。

ライカは今年、ヴィラ・ノヴァ・デ・ファマリカン工場における50年の軌跡を祝したセレブレーション「From Famalicão to the World: 50 years of Leica in Portugal」を開催します。また、ポルトのライカギャラリーではライカを愛用するポルトガルの著名なフォトジャーナリスト アルフレード・クーニャの写真展「Alfredo Cunha. Portugal from 1973 to 2023」を開催します。この写真展では、同氏が手がけた母国ポルトガルへの印象的なトリビュート作品が展示されます。

ドイツ国内での製造コストは1960年代半ばからすでに上昇しており、ライツ社はヨーロッパ内で光学工場をさらに建設する場所を探していました。そこで建設地として白羽の矢が立ったのが、高精度なメカ機構の製造地としての歴史が根付いていたヴィラ・ノヴァ・デ・ファマリカンでした。工場は1973年6月に稼働を開始し、当初は顕微鏡とカメラのパーツの製造が行われていました。やがて、双眼鏡「トリノビット」シリーズが製造されるようになり、1976年には「ライカR3」の組み立てが行われるようになりました。それ以降も、名機として名高い「ライカM6」や「ライカR8」の仮組み立てが行われるようになるなど、この工場が手がける製品の種類は着実に増え続け、2004年には敷地面積が21,000m²に達しました。そして2008年、2,300万ユーロを投じて現在の工場の建設を開始し、2013年3月21日に稼働に至ったのです。その後も、エンジニアリング部門が設置されるなど拡充が進み、成長を続けてきました。現在は野生生物の観察やハンティング向けの先進スポーツオプティクス製品の製造も行われています。最新設備が整った現在の工場の製造計画には、双眼鏡、フィールドスコープ、レーザー距離計、ライフルスコープというユニークな製品を手作業で製造するスケジュールが常に組み込まれています。さらに2016年12月1日、街の中心部にある歴史ある建物にライカストアがオープンしました。ライカギャラリーを併設し、ここではライカアカデミーも開催されています。2017年には工場内にスポーツオプティクス部門のライカ カスタマーケアを開設するとともに、エンジニアリング部門を設置し、さらなる価値の提供と革新性の追求を推進しました。

こうした足跡を経て、このたびヴィラ・ノヴァ・デ・ファマリカンにおけるライカの工場は設立50周年を迎えました。それを祝して、写真展「From Famalicão to the World: 50 Years of Leica in Portugal」が現在、ヴィラ・ノヴァ・デ・ファマリカンの文化施設 カーザ・ダス・アルテスにて開催中です。また、50年の歴史を綴った雑誌の特別号も発行される予定です。今回の企画はドイツとポルトガルにおけるライカの50年におよぶ歴史に焦点を当てたものですが、ウェッツラー、そしてヴィラ・ノヴァ・デ・ファマリカンにおいてもライカが常に見据えているのは未来です。その芯にあるのは革新性の追求であることに変わりはありません。 

ライカ関係者のコメント 

アンドレアス・カウフマン博士(社主、監査役会議長)
「これは公然の秘密ですが、ライカの成功の秘訣の一端はヴィラ・ノヴァ・デ・ファマリカンの工場にあります。その理由は明白。この工場は光学機器の分野では最も優れた施設のひとつなのですから」

ヴィトール・フレイタス(常務取締役)
「ヴィラ・ノヴァ・デ・ファマリカンの工場にあるのは、人々の情熱と完璧な製品づくりです。従業員はみな非常に勤勉であり、その姿勢こそがこの工場に成功をもたらしているのは間違いありません。率直に申し上げれば、この工場での私たちの仕事ぶりが、世界でのライカブランドのイメージに直結しているのです」

ペドロ・オリヴェイラ(常務取締役)
「ライカにはいくつかの重要な価値があります。ヴィラ・ノヴァ・デ・ファマリカンの工場が誇る技術は現在、光学機器の業界のスタンダードとなっています。この工場にとって重要なのは、人とともに成長すること、そして人を成長させることです。長年工場に勤務している人材は特に大切な存在です。なぜなら、製品に関する深い知識とノウハウを持っているからです。それらはマニュアルに書かれている類のものではありません。培ってきた経験に革新性を絶妙なバランスで融合させること。それが、この工場で目指していることなのです」

Press Release 50 Years Leica in Portugal September 2023.pdf
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ライカカメラ社-写真撮影のパートナー

ライカカメラ社は、カメラ製品とスポーツオプティクス製品をグローバルに展開するプレミアム企業です。卓越した品質の製品を作り続けた長きにわたる伝統とドイツのクラフツマンシップや革新的な技術と結びついた工業デザインにより、ライカブランドは伝説と呼ばれるほどの評価を確立しています。写真界の発展に寄与する活動として、世界各地に展開するライカギャラリーやライカアカデミーに加えて、「Leica Hall of Fame Award」の創設や、世界で最も権威のある国際写真コンテストのひとつとして認知されている「ライカ・オスカー・バルナックアワード(LOBA)」を主催するなど、さまざまな文化活動も行っています。
ライカカメラ社は、ドイツのヘッセン州のウェッツラーに本社を置き、ポルトガルのヴィラ・ノヴァ・デ・ファマリカンに第二工場を持っています。また、世界の各地域に拠点を築き、直営の販売店を独自のネットワークにより運営しています。