エリオット・アーウィットが「ライカ・ホール・オブ・フェイム・アワード」を受賞

ライカカメラ社(Leica Camera AG、本社:ドイツ・ウェッツラー、以下ライカ)は「セレブレーション・オブ・フォトグラフィー(Celebration of Photography)」の一環として、著名なマグナム・フォトグラファーであるエリオット・アーウィットの生涯にわたる功績を称え、「ライカ・ホール・オブ・フェイム・アワード(Leica Hall of Fame Award)」を同氏に授与いたします。ウェッツラーのライカギャラリーでは2024年1月末までエリオット・アーウィットの作品展を開催します。さらにアーウィットの有名なモチーフのひとつが「ライカ・ピクチャー・オブ・ザ・イヤー(Leica Picture of the Year)」にも選出されました。

マリリン・モンローやチェ・ゲバラ、サイドミラーに映る仲睦まじいカップル。エッフェル塔の前で優雅にジャンプする人物や人間/犬たちのポートレートなど、アーウィットのアイコン的なモチーフには写真史の年代記に刻まれているものが多数あり、彼の比類なきユーモアに富んだ写真は世界中に喜びをもたらしています。

アーウィットの作品は見る者の感情に訴える一方で、常に人々をより深遠な観念的思索へといざないます。すべてを一瞬で捉え、一枚の写真に収めることを可能にする彼の写真撮影の背後には秘密があるのかも知れません。

「どこにいてもシャッターチャンスを見つけられます。単純に、物事に気づいたら、構図を考えるだけです。ただ、自分の周りにあるものに気を配り、人間性と人間の喜劇に関心を持つだけでいいのです」

アーウィットは素晴らしいストーリーテラーですが、むしろ控えめな態度で説明してくれました。

「必要なのは、モチーフに秩序をもたらしたり、写真の構図を決めたり、特定のムードを感じ取って反映したりするささやかな能力だけです。時には、何かを物語る作品を作れるかも知れません。それだけで十分です。もちろん、しかるべき時にしかるべき場所に居合わせることができるなら、それに越したことはありません」

ウェッツラーのライカギャラリーで併催する作品展では、アーウィットが本展のために70年あまりにわたって撮影してきたモチーフからお気に入りの50作品を選出。世界に対するアーウィットの洞察力を示す作品をご堪能いただけます。

アーウィットは1948年にニューヨークでキャリアをスタートし、1953年にロバート・キャパの招きに応じてマグナム・エージェンシーのメンバーになってからキャリアを発展させました。彼は常に東奔西走し、俳優や政治家や著名人を撮影するとともに、街頭の光景や風景、都会を素材にした写真を撮り続けました。さらに、無数の商業的な仕事に携わる中でも、常に時間を見つけては自分自身のモチーフにも取り組みました。それを経て、子どもやカップルや犬がお気に入りのモチーフになり、記憶に残る瞬間を数え切れないほど捉え、ユーモアがあり、適確で、魅力的な作品として記録しました。彼のモチーフはダイレクトかつエンターテインメント性に富み、繊細かつ痛烈で、アメリカ的であると同時にコスモポリタン的でもあります。

エリオット・アーウィットは1928年7月26日、ロシア人移民の息子としてパリで生まれ、イタリアとフランスで育ちました。1939年に家族とともにアメリカに移住しました。写真に興味を抱いたのは、ハリウッドに住んでいた10代の頃でした。1948年にプロフェッショナルフォトグラファーとしてニューヨークでキャリアをスタートさせ、1953年にロバート・キャパの招きに応じてマグナム・エージェンシーのメンバーになりました。その後複数の任期にわたり同エージェンシーの会長を務めています。数十年におよぶキャリアを通じて、当代で最も有名で多忙なフォトグラファーの一人となっています。1970年以降は映画製作やテレビの仕事も開始。20年以上前に写真撮影の仕事から引退し、現在は多数の作品展や写真集を通じて自身の生涯の仕事を再評価する作業に時間を注いでいます。ニューヨーク市在住であり、同市にある新しいライカギャラリーでも彼の「ライカ・ホール・オブ・フェイム・アワード」受賞を祝福する作品展を来年開催予定です。

 

「ライカ・ピクチャー・オブ・ザ・イヤー」について

アーウィットが撮影した写真の中から一枚を選び、世界27のライカギャラリーを通じて数量限定にて販売いたします。一匹のブルドッグとその背後に座っている飼い主の完璧な共生関係を捉えたこのポートレートは、マンハッタンのアッパーウェストサイドにある彼のスタジオにごく近い場所で2000年に撮影されました。ライカは2021年以来、「ライカ・ホール・オブ・フェイム」に殿堂入りした傑出したライカ・フォトグラファーに「ライカ・ピクチャー・オブ・ザ・イヤー」という賞を授与しています。ラルフ・ギブソンやトーマス・ヘプカーも過去に受賞した「ライカ・ピクチャー・オブ・ザ・イヤー」の2023年度の受賞者はエリオット・アーウィットです。

「ライカ・ホール・オブ・フェイム・アワード」について

ライカのカメラで撮影したワンシーンが、世界中の人々の心を揺さぶり、その記憶に鮮明に残る──。私たちを取り巻くこの世界を独自の視点で捉え、その写真作品で何らかの変革やムーブメントを起こしてきた偉大な写真家に対し、ライカは2011年から「ライカ・ホール・オブ・フェイム・アワード」を授与しています。受賞者たちの作品は自己のクリエイティビティの表れでもあります。そしてそこには「人間とは何か」が印象的に視覚化されており、それぞれの時代を象徴する不朽の名作として大勢の人々の記憶に刻まれてきました。過去の受賞者には、ジャンニ・ベレンゴ・ガルディン、ルネ・ブリ、ブルース・デビッドソン、ラルフ・ギブソン、アラ・ゲラー、トーマス・ヘプカー、バーバラ・クレム、スティーブ・マッカリー、ジョエル・マイロウィッツ、ユルゲン・シャデベルク、ニック・ウト、ヴァルター・フォーゲルがいます。エリオット・アーウィットは13人目の受賞者となります。

Press Release Leica Hall of Fame Award October 2023.pdf
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ライカカメラ社-写真撮影のパートナー

ライカカメラ社は、カメラ製品とスポーツオプティクス製品をグローバルに展開するプレミアム企業です。卓越した品質の製品を作り続けた長きにわたる伝統とドイツのクラフツマンシップや革新的な技術と結びついた工業デザインにより、ライカブランドは伝説と呼ばれるほどの評価を確立しています。写真界の発展に寄与する活動として、世界各地に展開するライカギャラリーやライカアカデミーに加えて、「Leica Hall of Fame Award」の創設や、世界で最も権威のある国際写真コンテストのひとつとして認知されている「ライカ・オスカー・バルナックアワード(LOBA)」を主催するなど、さまざまな文化活動も行っています。
ライカカメラ社は、ドイツのヘッセン州のウェッツラーに本社を置き、ポルトガルのヴィラ・ノヴァ・デ・ファマリカンに第二工場を持っています。また、世界の各地域に拠点を築き、直営の販売店を独自のネットワークにより運営しています。