ジョエル・マイロウィッツによる作品を選出 世界各地のライカギャラリーにて限定販売
1960年代から現在までアメリカを代表する写真家の一人として活躍するジョエル・マイロウィッツ (1938-) 。彼のストリートフォトグラフィーは独自のスタイルを持ちとりわけ「色彩」は欠かせない表現要素となっています。2025年夏、エルンスト・ライツ・ミュージアムにて、代表作100点を集めた壮大な回顧展「The Pleasure of Seeing」が開催されました。今年度「ライカI」誕生100周年を記念した「100 years of Leica: Witness to a century (1925-2025) | ライカの100年:世界を目撃し続けた1世紀」の一環として、マイロウィッツに自身の作品から100点を厳選するよう依頼しました。2025年度「ライカ・ピクチャー・オブ・ザ・イヤー」に選出されたこの一枚は、彼の初期作品のひとつにあたります。「Puerto Rican Day Parade, Manhattan, New York City 1963」は、2025年12月より世界各地のライカギャラリーにて限定版のプリントとして販売されます。
当時、ニューヨークの広告代理店でアートディレクターとして働いていた彼が、写真家として生きるという人生を大きく変える決断を下したきっかけは、わずか90分間の出来事でした。彼は、写真家 ロバート・フランクの撮影現場を観察し、ライカを手にまるで夢遊するように被写体を追うその軽やかで直感的な姿に深い衝撃を受けたのです。そして、その日のうちにマイロウィッツは会社を辞め、ストリートフォトグラフィーという冒険へと踏み出しました。「ライカM2」は彼にとって日々視覚を研ぎ澄まし、複雑なシーンの中で完璧な瞬間を素早く見つけ出すための相棒となりました。ニューヨークの喧騒に包まれながら、彼は日常に潜む魔法のような瞬間の中に、欠かすことのできない張りつめた緊張を見出しました。「ライカ・ピクチャー・オブ・ザ・イヤー」を受賞したこの写真もこの最初の体験を物語っています。「私はパレードを、自分の内気さを克服するきっかけにしました。人々が通りを練り歩くパレードに目を奪われている間、私はまるでレーダーに映らないほど低く飛ぶ飛行機のように、そっとその視線をすり抜けることができたのです」と、彼は振り返ります。「その瞬間が放つエネルギーこそが、何よりも大切でした」。
「ライカ・ピクチャー・オブ・ザ・イヤー」を受賞したこの作品は「プエルトリカン・デイ・パレード」の傍らで誕生しました。このパレードは今日でもニューヨーク市のパレードプログラムにおいて欠かせない存在となっています。1959年以来、このパレードはプエルトリコの文化と歴史、そしてとりわけアメリカで暮らす数百万人のプエルトリコ系住民に対する誇りと尊重の象徴となっています。毎年6月の第2日曜日には、パレードがマンハッタンを行進し、大勢の見物客で賑わいます。この写真
では、
5番街にある店の入り口で出会った4人の女性が、メイクを完璧に仕上げています。パレードの熱気と喧騒の中、マイロウィッツは人々の視線からすっかり外れ、その場の数々の印象へ瞬時に反応することができました。彼の目を捉えたのは、彼女たちの洋服の色や髪型、靴だったのでしょうか。マイロウィッツにとって、路上で写真を撮ることはいわば「見ること」を学ぶ場となりました。なぜなら、彼自身が語るように「ストリートで私が最初に学んだことのひとつは、適切な瞬間が訪れたら、それを正確に捉える必要があるということだった」からです。そのため、4人の女性たちの写真は知覚や即興性について多くを物語り、今日では時代を写す資料としても読み取ることができます。
2021 年より、「ライカ・ホール・オブ・フェイム・アワード」を受賞したライカフォトグラファーを対象に授与されているのが「ライカ・ピクチャー・オブ・ザ・イヤー」です。偉大さの一端をすべてのライカ愛好家と共有するという目的でも、ライカは「ライカ・ピクチャー・オブ・ザ・イヤー」を毎年選出しており、選出作品は、世界27か所のライカギャラリーで限定販売されます。コレクターやライカ愛好家にとっては、限定版のプリントを通してライカの偉大な写真家たちを讃える唯一無二の作品コレクションを手にする絶好の機会となります。ラルフ・ギブソン、トーマス・ヘプカー、エリオット・アーウィット、ヘアリンデ・ケルブルに続き、2016年から「ライカ・ホール・オブ・フェイム」に殿堂入りを果たしているジョエル・マイロウィッツの「ライカ・ピクチャー・オブ・ザ・イヤー」がこの豪華なグループに加わります。
2025年度ライカ・ピクチャー・オブ・ザ・イヤー:
写真家:ジョエル・マイロウィッツ
タイトル:Puerto Rican Day Parade, Manhattan, New York City 1963
プリント用紙:サテンキャンソン インフィニティ260g/m²
プリント:Prolab Fotofachlabor(ドイツ)がプリント
全体サイズ:40 × 50cm [15.75 × 19.69インチ]、写真サイズ:25.4 × 38.1cm [10 × 15インチ]
サインとエディションナンバー入り
付属品:作品証明書付き、エディションナンバー入り、特製フォルダー入り
販売数:81点
世界各地のライカギャラリーでの限定販売
価格:275,000円(税込)
国内ではライカギャラリー東京、ライカギャラリー京都、ライカギャラリー表参道にて2025年12月より順次販売開始
ライカカメラ社について
ライカカメラ社はカメラ、レンズ、スポーツオプティクスを製造・販売するグローバルなプレミアムメーカーで、150年以上の歴史を誇ります。近年は成長戦略の一貫として事業領域を拡大しており、モバイルイメージング(スマートフォン)の分野にも進出しています。また、高品質な眼鏡用レンズと時計の製造も手がけるほか、自社製プロジェクターによりホームシネマ市場に参入しています。本社はドイツ・ウェッツラーにあり、ポルトガルのヴィラ・ノヴァ・デ・ファマリカンには第2の製造拠点を置いています。世界各地に独自の販売会社と120を超えるライカストアを構え、グローバルな販売ネットワークを構築しています。ライカは、革新技術が伴った「最高水準の品質」「ドイツならではのクラフツマンシップ」「インダストリアルデザイン」の代名詞となっています。
ライカブランドの文化に不可欠なのは、写真文化の育成へのコミットメントであり、その一環として世界各地に約30箇所のライカギャラリー設置、ライカアカデミーの開催、「ライカ・ホール・オブ・フェイム・アワード(Leica Hall of Fame Award)」や「ライカ・オスカー・バルナックアワード(LOBA)」といった国際的アワードの主催をはじめ写真文化の振興に取り組んでいます。