1954年に登場した「ライカM3」は写真の世界を一変させました。それから70年が経った今年、44回目の開催を迎える「Leitz Photographica Auction」において、非常にレアなM型カメラ「Leica MP2 black paint outfit」:1958年製造の「ライカMP2」で、ブラックペイント仕上げが施されたわずか6台のうちの1台が最大の目玉アイテムとしてお目見えします。また、「Leica I Mod. A Luxus outfit」や「E. Leitz New York Leica Gun RIFLE」といった注目アイテムも出品されるほか、チャリティーアイテムとして「Summilux 1.4/35mm Steel Rim prototype」が出品されます。第44回「Leitz Photographica Auction」は、本年6月8日にドイツ・ウェッツラーのライツ・パークにて開催されます。
ライカがM型カメラの初代機である「ライカM3」を世に送り出してから今年で70年が経ちます。「ライカM3」はこれに続くM型カメラ各機種とともにいつの時代も写真の世界において脚光を浴び、中心的な役割を担ってきました。その背景にはそれぞれの時代の先駆的な革新技術を取り入れてきたことや、20世紀を代表する著名なフォトジャーナリストたちが大きな信頼を寄せてきたという事実があります。M型カメラは、ライカの歴史のみならず写真の歴史そのもののマイルストーンとして存在感を発揮してきたのです。
「Leitz Photographica Auction」には、そうしたM型カメラの歴史を記念するという意味合いがあります。オークションハウスであるライツ・フォトグラフィカ・オークションは、2002年の設立以来、ヴィンテージカメラやカメラ関連アクセサリーを専門に扱うオークションとして「Leitz Photographica Auction」を毎年2回開催しています。現在では、歴史的にも価値ある写真関連アイテムが多彩に揃うオークションとして世界的に認知され、出品されるアイテムのメーカーは多岐にわたりますが、メインはやはりライカのカメラとレンズです。
製造台数はわずか6台――1950年代のレアなブラックペイントのライカMP2
今回のオークションで最大の注目を集めるのは、間違いなく1958年製造の「Leica MP2 black paint outfit」でしょう。「ライカMP2」は試作品として27台製造されました。ブラックペイント仕上げが施されたのはわずか6台(シリアルナンバー:935507~935512)で、今回出品されるのはそのうちの1台(シリアルナンバー:935509)です。「ライカMP2」は「ライカM2」に改良が加えられたプロフェッショナル仕様のモデルです。特製の電動モータードライブが組み込まれているのが特徴で、1秒間に3.5コマの撮影が可能です。写真の歴史の中でもトップクラスの希少価値を誇ることから、60万~70万ユーロで落札されると予想されています。
現存数の少なさからコレクターの間で人気が高騰
1950年代のカメラ技術を体現する希少なカメラ「ライカMP2」に加え、1930年代の希少なカメラも今回出品されます。「Leica I Mod. A Luxus outfit」は、現存するのがわずか数台というライカの「ルクサス」のうちの1台(シリアルナンバー:48438)。製造時と同じデザイン・仕様で残っており修理された形跡もありません。特殊なレザー外装と金メッキが施された外観が目を引くこのアイテムは、30万~35万ユーロで落札されると予想されています。
ライカのカメラ用アクセサリーとしては非常に珍しい「E. Leitz New York Leica Gun RIFLE」も今回出品されます。このアイテムにはもともと野生生物を撮影するために開発された銃床が含まれます。この銃床は野生生物写真の分野を代表する写真家のひとりであるアッティリオ・ガッティからインスピレーションを得ました。ガッティは1922年から13回にわたって探検隊を率いてアフリカを訪れた人物で、アフリカの野生生物を初めて写真に記録したヨーロッパ人のひとりでもあります。専門家によると、このようなライフル型のアクセサリーの製造台数は15点もないだろうとのことです。シリアルナンバーが「119」であるこのアイテムには、カメラ本体の「Leica IIIb」とレンズの「Telyt 5/40cm」も含まれます。予想落札価格は24万~26万ユーロです。
ズミルックスレンズのプロトタイプがチャリティーアイテムに
“スチールリム”の「ライカ ズミルックスM f1.4/35mm」は、1961年の発売当時は世界で最も明るい広角レンズでした。このレンズはその後、35年以上にわたっていくつかのバージョンが発売されました。今回のオークションに出品される「Summilux 1.4/35mm Steel Rim prototype」は、復刻版として2022年に登場した「ライカ ズミルックスM f1.4/35mm」(コード:11301)の試作品として数本製造された中のひとつです。「0000030」という特別なシリアルナンバーが付いているほか、リムの部分は通常の販売モデルにはない仕上げになっています。こちらはチャリティーアイテムとして出品され、その落札金はオーストリアのチャリティー番組『リヒト・インス・ドゥンケル』に全額寄付されます。予想落札価格は6,000~7,000ユーロです。
入札は会場のほかオンライン、書面、電話でも可能
第44回「Leitz Photographica Auction」は、本年6月8日午前11時(中央ヨーロッパ夏時間)からヘッセン州ウェッツラーのライツ・パークにて開催されます。事前入札はオンライン(www.leitz-auction.com)または書面で受け付けいたします。オークション当日は、会場入札のほか、ライブオークションサイト(www.leitz-auction.com および www.liveauctioneers.com)または電話でのリアルタイム入札も可能です。
今秋には2つのオークションがいずれもウィーンにて開催されます。まず10月18日には、写真作品のオークションである「Gestures」がウィーンのライカギャラリーにて開催されます。続いて11月23日には、第45回「Leitz Photographica Auction」がウィーンのリング通りに面した由緒あるホテル・ブリストルにて開催されます。
第44回Leitz Photographica Auction
開催場所:ライツ・パーク(ドイツ・ウェッツラー)
開催日時:2024年6月8日午前11時(中央ヨーロッパ夏時間)から
www.leitz-auction.com
ライカカメラ社-写真撮影のパートナー
ライカカメラ社は、カメラ製品とスポーツオプティクス製品をグローバルに展開するプレミアム企業です。卓越した品質の製品を作り続けた長きにわたる伝統とドイツのクラフツマンシップや革新的な技術と結びついた工業デザインにより、ライカブランドは伝説と呼ばれるほどの評価を確立しています。写真界の発展に寄与する活動として、世界各地に展開するライカギャラリーやライカアカデミーに加えて、「Leica Hall of Fame Award」の創設や、世界で最も権威のある国際写真コンテストのひとつとして認知されている「ライカ・オスカー・バルナックアワード(LOBA)」を主催するなど、さまざまな文化活動も行っています。
ライカカメラ社は、ドイツのヘッセン州のウェッツラーに本社を置き、ポルトガルのヴィラ・ノヴァ・デ・ファマリカンに第二工場を持っています。また、世界の各地域に拠点を築き、直営の販売店を独自のネットワークにより運営しています。