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第 43 回 Leitz Photographica Auction

名優が愛したブラックペイントの稀少なカメラや著名な写真家によるモノクロームの名作が登場

ライカカメラ社(Leica Camera AG、本社:ドイツ・ウェッツラー、以下ライカ)は、第43回「Leitz Photographica Auction(ライツ・フォトグラフィカ・オークション)」をウィーンのホテル・ブリストルにて2023年11月24日と25日に開催いたします。今回のオークションを一言で表すキーワードは“Black”──出品アイテムの中でも特に目玉となっているのは、俳優のユル・ブリンナー(1920-1985)が所有しハリウッド黄金時代の舞台裏を切り撮った2台のブラックペイントの「ライカMP」です。ブリンナーは、西部劇の黄金期を代表する名優で、出演作『荒野の七人』で「全身黒ずくめのガンマン」というイメージが定着しました。一方、ドイツの写真家オットー・シュタイナート(1915-1978)は、モノクロームの名作を数多く残しました。インパクトのある実験的な写真表現を通じて戦後の写真史の形成に類まれなる貢献を果たした写真家であり、「主観的写真」の分野では伝説的な存在のひとりとしていまなお語り継がれています。今回は初日の24日に“Shaping Visions”と銘打った写真作品のオークションが開催され、そこではシュタイナートが手がけた22点1組の作品も出品される予定です。 

コレクター人気が加熱するブラックペイント

歴史的に価値あるライカのコレクターや愛好家の間で依然として絶大な人気を誇るのがブラックペイントのカメラです。金属部分に施されたペイントは使い込むほどに剥がれて独特な風合いを帯び、長年愛用した証としての個性が備わったカメラへと生まれ変わっていきます。1950年代から60年代にかけてはクローム仕上げがトレンドになったことで、以前に比べてブラックペイントのカメラが世に出ることは少なくなりました。「しかし、ここ10年はブラックペイントが施されたライカカメラの人気が高まっています。それに伴い価格も急上昇しており、ユーロで7桁台にもなるアイテムも出ています」 とオークションハウスであるライツ・フォトグラフィカ・オークション社長 アレクサンダー・セドラクは語ります。同社はヴィンテージカメラやアクセサリー、写真作品を専門に扱うオークションハウスで「Leitz Photographica Auction」を年に2回開催しています。

彼によると、ブラックペイントのカメラの中でも生産数がごくわずかであったモデルは特に人気が高く、最たる例として1956年に登場した「ライカMP」の名が挙がりました。“M Professional”を意味する「ライカMP」はルポルタージュ撮影用に開発されたモデルで、主に報道写真家たちから愛用されました。ライツ社は全部で412台の「ライカMP」を製造しましたが、そのうちブラックペイントは141台しかありません。「それらのブラックペイントは、今ならば数十万ユーロの値がつきます。さらに著名人が所有していたとなれば、コレクターからの関心はさらに高まり、価格も上がるでしょう」 とセドラクは語っています。 

注目はユル・ブリンナーが所有していた「ライカMP」と最初期の「ライカM3」 

今回のオークションで出品される「Leica MP black paint no.59 'Yul Brynner'」と「Leica MP black paint no.60 'Yul Brynner'」は俳優のユル・ブリンナーが所有していたものです。『王様と私』(1956)でアカデミー賞も受賞したハリウッド黄金時代の名優は西部劇の名作の数々にも出演しており、『荒野の七人』(1960)では全身黒ずくめの異質なガンマンを演じました。写真の才能にも恵まれていた彼は、ライカを携えて映画の撮影現場や旅行で訪れたヨーロッパ各地で写真を撮影していました。今回出品される2台の「ライカMP」は、いずれも60万~70万ユーロで落札されると予想されています。「Leica M3 no.700027 'Günther Leitz'」(予想落札価格20万~24万ユーロ)も目玉アイテムのひとつです。「ライカM3」はライカが初めて大量生産したM型カメラであり、ライカの歴史において大きなマイルストーンとなったモデルのひとつです。今回出品されるクローム仕上げの「ライカM3」はシリアルナンバー「700027」、1954年にライツ社の工場から27番目に出荷された「ライカM3」となります。実はこちらも、ライツ社の社長を務めたギュンター・ライツが所有していたという付加価値がついたアイテムです。

ユル・ブリンナーやオットー・シュタイナートが撮影したヴィンテージプリント 

ユル・ブリンナーが所有していた2台の「ライカMP」や最初期の「ライカ3」は、11月25日に開催するカメラおよびカメラ関連アクセサリーのオークションに出品されます。その前日の24日には「Shaping Visions」と銘打った写真作品のオークションが開催されます。「Shaping Visions」ではブリンナーが撮影した4点の作品が登場。その中には1956年にヴェネツィアで撮影されたオードリー・ヘプバーンの特別な大判ポートレートも含まれます。

さらに注目なのが、ドイツの写真家 オットー・シュタイナートが撮影したモノクロ作品(22点1組)です。「オットー・シュタイナートほど戦後ドイツの写真界に大きな足跡を残した写真家はいないでしょう。『新しい視覚』や『主観的写真』などの写真運動の中心的存在だったシュタイナートは、それまでのドキュメンタリー写真の常識を破り、緊張感あふれる構図でビジュアル言語のあり方に根源的な影響を与えました」 と、ライツ・フォトグラフィカ・オークションのフォトグラフィーエキスパートであるアンナ・ジムは語ります。

今回出品される作品群には、「Maske einer Tänzerin」「Blick vom Arc de Triomphe」「Ein-Fuß-Gänger」「Lampen der Place de la Concorde」などの有名な作品が含まれます。これらはすべて、ブラジル・サンパウロのフォト・シネ・クルービ・バンデイランテから提供されたヴィンテージプリントで、予想落札価格は20万~30万ユーロです。

入札は会場のほかオンライン、書面、電話でも可能

第43回「Leitz Photographica Auction」の開催場所はウィーンのホテル・ブリストル、開催日は2023年11月24日と25日です。初日の24日は「Shaping Visions」と銘打った写真作品のオークション、2日目の25日はヴィンテージカメラおよびカメラ関連アクセサリーのオークションとなります。事前入札はオンライン (www.leitz-auction.com)、書面、電話で受け付けます。オークション当日は、会場入札のほか、ライブオークションサイト(https://www.leitz-auction.com/ および http://www.liveauctioneers.com)でのリアルタイム入札も可能です。

Press Release Announcement 43. Leitz Photographica Auction October 2023.pdf
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ライカカメラ社-写真撮影のパートナー

ライカカメラ社は、カメラ製品とスポーツオプティクス製品をグローバルに展開するプレミアム企業です。卓越した品質の製品を作り続けた長きにわたる伝統とドイツのクラフツマンシップや革新的な技術と結びついた工業デザインにより、ライカブランドは伝説と呼ばれるほどの評価を確立しています。写真界の発展に寄与する活動として、世界各地に展開するライカギャラリーやライカアカデミーに加えて、「Leica Hall of Fame Award」の創設や、世界で最も権威のある国際写真コンテストのひとつとして認知されている「ライカ・オスカー・バルナックアワード(LOBA)」を主催するなど、さまざまな文化活動も行っています。
ライカカメラ社は、ドイツのヘッセン州のウェッツラーに本社を置き、ポルトガルのヴィラ・ノヴァ・デ・ファマリカンに第二工場を持っています。また、世界の各地域に拠点を築き、直営の販売店を独自のネットワークにより運営しています。