写真の技術的・文化的発展への貢献と不朽のレガシー
ライカカメラ社(Leica Camera AG、本社:ドイツ・ウェッツラー、以下ライカ)は2025年、記念すべき節目の年を迎えています。
100年前の1925年3月1日に、ライカ初の量産35mmカメラとして知られる「ライカI」がライプツィヒ春季見本市で初披露され、そのコンパクトで扱いやすいサイズは写真の新たな用途の可能性を切り拓き、写真の世界へ革命をもたらしました。ライカは2025年、この節目の年を祝うとともに、小型カメラの量産を決断し、35mmフィルム規格を業界で標準化させるなど先見の明を備えたエルンスト・ライツ2世の功績に注目します。1世紀の歴史に燦然と輝くブランドのこれまでの歩みを辿り、フォトグラフィーの今後を展望します。
「ここに決断を下す。リスクは覚悟の上だ」── この意欲的な言葉とともに、起業家のエルンスト・ライツ2世はオスカー・バルナックが開発した画期的なカメラ「ウル・ライカ」を改良し量産に乗り出しました。厳しい経済情勢下、技術上の課題も山積するなか、新たな製造ラインを取り入れることを決断したのです。ライプツィヒ春季見本市(3月1日~11日)での「ライカI」の発表は、先見性と企業理念を示すものでもありました。国内外の関係者が一堂に会する見本市は、すでに当時から技術革新の発信・交流の場として広く認識され、多くの関心を集めていました。1925年当時、見本市会場ホールの上階:194/195番ブースから、まさに写真界の革命へと乗り出したのでした。この日を境に当時「Anastigmat(アナスチグマート)」と呼ばれた1:3,5/50mmレンズを搭載した「ライカI」は、栄光の階段を一気に駆け上がり、「ライカI」で採用された24×36mm判が世界標準フィルムサイズとして定着しました。
アレクサンドル・ロトチェンコ、ジゼル・フロインド、アンドレ・ケルテスといった著名な写真家たちもまた、コンパクトで目立たず、高性能な「ライカI」が持つ可能性をすぐに認識しました。「ライカI」を手にした彼らによって、まさに生きた写真が生まれました。1台のカメラが、決定的瞬間を捉えることを初めて可能にしたのです。これはフォトグラフィーの世界に大きな変革をもたらし、現代のフォトジャーナリズムやアートとしての写真が誕生しました。発売1年目にしておよそ1000台のカメラが販売され、フォトグラフィーの世界で確たる位置を占めるライカブランドの礎がここに築かれました。
その後も改良を重ね、また画期的な交換レンズの開発でシステムを拡充させていくことで、ライカのカメラシステムはさらなる成功を収めます。1930年、スクリューマウントを採用し、交換レンズ3本を揃えた“ライカカメラ”が初めて登場しました。1932年には、高速かつ高精度のフォーカスを可能にするレンジファインダーを内蔵した「ライカII」が誕生しました。この時にはスクリューマウントの規格は統一され、交換レンズ7本が揃いました。進化を続けるカメラシステムに魅了されて愛用する写真家たちのネットワークは着実に深化し、今日においてもライカの企業文化を支える礎であり続けています。
ライカカメラ社社主兼監査役会議長であるアンドレアス・カウフマンは次のように語ります。
「ライカはこの100年間、イノベーションの力、クラフツマンシップ、そしてエンジニアリング技術を通じて写真技術の向上と文化発展に大きく貢献してきました。その眼差しは常に本質的なものに向けられています。世界で起きている出来事を伝え記録する、唯一無二であり真実の写真を追い求める情熱です。このため、1世紀にわたるカメラ製作へのオマージュとも言えるこの100周年記念では、著名な写真家たちを招き、彼らの作品を主役としたセレブレーションのイベントを世界中で展開する予定です」
「ライカI」を皮切りに、革新的な製品開発と未来志向の技術投資によって、ライカは一時代を築きあげてきました。その輝かしい歴史を形作る歩みは今日もとどまるところを知りません。ブランドの強化を目指し、また事業分野拡大に伴う新規顧客の獲得を通じて、ライカは今日も革新を続けます。現在特に注力しているのがモバイルの分野です。世界市場にライカならではのユーザーエクスペリエンスを提供する第一歩として、この2月には画期的なカメラグリップ「Leica LUXグリップ」を発表しました。「Leica LUX」アプリとあわせて、ユニークなiPhoneでの撮影体験を楽しめます。
ライカカメラ社について
ライカカメラ社はカメラ、レンズ、スポーツオプティクスを製造・販売するグローバルなプレミアムメーカーで、150年以上の歴史を誇ります。近年は成長戦略の一貫として事業領域を拡大しており、モバイルイメージング(スマートフォン)の分野にも進出しています。また、高品質な眼鏡用レンズと腕時計の製造も手がけるほか、自社製プロジェクターによりホームシネマ市場に参入しています。
本社はドイツ・ウェッツラーにあり、ポルトガルのヴィラ・ノヴァ・デ・ファマリカンには第2工場を置いています。世界各地に独自の販売会社と120を超えるライカストアを構え、グローバルな販売ネットワークを構築しています。現在の従業員数は約2,400名で、2023-24会計年度の売上高は5億5,400万ユーロでした。
ライカは、革新技術が伴った「最高水準の品質」「ドイツならではのクラフツマンシップ」「インダストリアルデザイン」の代名詞となっています。そのブランド力を活かした活動の一環として、世界各地に約30箇所のライカギャラリーを設置、ライカアカデミーの開催、「ライカ・ホール・オブ・フェイム・アワード(Leica Hall of Fame Award)」や「ライカ・オスカー・バルナックアワード(LOBA)」といった国際的アワードの主催をはじめ写真文化の振興に取り組んでいます。